徒然なるさざれ石

シャボン玉おじさんを目指す大学生奮闘記

頑張ればどうにかなる

この間、ばあちゃんを免許の高齢者講習の為、自動車学校に送った。

 

 

僕が通った頃は、夏休みだったので初めて免許をとるキラキラした若者や、オラオラした若者が多かった。

 

しかし、この日は何でもない平日の昼である。

 

 

久しぶりに来た自動車学校は老人ホームと化していた。

 

高齢者講習をまとめてやってしまうようで、右を見たら婆さん、左を見たら爺さんの状態で、煮物の中にいるような気分だ。

 

 

ばあちゃんから高齢者講習のルールを聞いていたのだが、

認知症や聴力など数々の検査を受けて基準値より高ければ短い講習で済み、基準値にちょっと足りなければ長めの講習を受け、悪い値を取った場合は再検査がされるらしい。

 

なんか、大学の単位みたいで親近感が湧いた。

 

 

 

しばらくロビーで待っていると、どうやらFを取ったらしいゴボウみたいな爺さんが、視力の再試験を受けるようだった。

その場で受け直すことが出来るようだ。

この辺が大学とは違う。良心的だ。

 

 

さてして、何もすることがないので、爺さんを観察していた。

 

係の人「はい、これどっちですか?」

 

爺さん「へぇえ?」

 

 

聴力も再検査が必要なんじゃないか。

 

係の人「どちらが輪の切れている方向ですか?」

 

爺さん「はぁぁ、…よくわからん」

 

係の人「これはどうですか?」

 

爺さん「わからん、見えん!」

 

見えないって言っちゃったよ。

しかもちょっと怒り気味である。

係の人が気の毒になったが挫けていなかった。

 

 

 

 

 

係の人「頑張ってください!!」

 

 

 

 

まって、視力って頑張ると何とかなるもんだっけ。

 

係の人「これ見えないって事ですと、運転出来ませんよ。ほら、例えばこれだと上ですね?」

 

爺さん「はぁ…」

 

すごい、爺さんが大人しくなった。

この係の人もプロだ。

でも、その爺さんは見えてないからなぁ…。

 

係の人「では、これは…?」

 

爺さん「右…いや、し」

係の人「そうですね!です!」

 

爺さん「おぉ…」

 

いいのか、それ、いいのか

すごい食い気味にいったぞ。

やっぱ、見えてないって。

 

 

 

係の人「はい、これは?」

 

爺さん「…上?」

 

係の人「はい、オッケーです。では、この書類を持ってあちらに…」

 

 

絶対にオッケーじゃない。

オッケーと言われた瞬間に爺さんが、家宝でも見つけたのかのように笑ってたぞ。

必修科目だから係の人も単位をあげたいのか…

 

結局ゴボウ爺さんは次の試験に向かった。

愛知はこんな爺さんも走っているので、充分気をつけてください。