センターの思い出
今日は夕方に少し雪がちらついた。
そういえば、僕が受験の時も同じように雪が降っていたような気がする。
あの日、
空気はキンキンに冷え、心はガチガチに緊張していた。
自分は割と緊張しない方で、余裕と思っていたのだが、
考えていたセンターの日にしか使えない小話が全部吹き飛んで、忘れてしまったぐらいには緊張していた。
今思えば、忘れて幸せだった。
話していたら盛大にスベっていただろう。
縁起でもない。
センターの席は割と恵まれていた。
前の席は同じクラスのやつで、
隣は保育園から中学校まで同じだった。
一科目の社会が配られ、
気の知れた友達に囲まれた温室によって溶かされた僕の心に、今にもバラが咲かんとするときに事は起こった。
袋が開かない…
センターを受けた人は思い出して欲しいのだが、社会含め各科目は全種類ビニールに入って配られて、受験者はその袋から自分の受ける科目を取り出すのである。
そして、その袋が開かない。
僕は焦った。そんな罠があるなんて。
周りのみんなが着々と準備して行く中、僕だけ袋と格闘している。
僕の心は一気に氷河期に陥った。
早く開け、もう、マンモスがそこまで来ている!
こんなことならカップ麺のビニール開けるのにカッターなんて使わず素手で開ける練習をしておけばよかった。
たまらず隣の竹馬の友に聞いた。
「どうやって開けた!?」
「えっ、普通に横に引っ張って…」
ええい、ダメだ。それは試してるけど開かないのだ。
前の竹馬はどうだ?
僕は前を見た。
やつは笑ってた。
この使えない竹め、2つにかち割ってやる。
僕がカオナシなら即食べていた。
ここまでは覚えているのだが、この先どうなったか思い出せない。
袋が無事空いたのか、係の人を呼んだのか…。
ただ、試験だけは無事に受けられた。
全国の受験生よ、安心されたし。